首都圏外郭放水路は、簡単に言うと「洪水で溢れそうになった河川の水を、地下水路を使ってより大きな川(江戸川)に流す」という施設である。
まぁ、そんなことはどうでもよくて、「地下にでっかい柱が林立するだだっぴろい空間がある」って方が重要なんだけど。
近くにちょっとした資料館があって、名前を「龍Q館」という。QはAQUAのQとのことだが、某オバケを連想してしまうのは私だけだろうか。
で、所在地は埼玉県春日部市。埼玉県の右の端、もうすぐ千葉県って位置のところだ。
最寄り駅は東武野田線の南桜井駅。東京都区外の我が家からだと約1時間半、1000円以上かかる。行くだけで疲れそうだ。
駅からは春日部市循環福祉バスというのが無料で出ていて、それに乗ればいい。
ただこのバス、時間が少々難ありだ。1日6便しかなく、必ずしも放水路の見学スケジュールに合わせてあるわけではないのだ。
今回、我々は10時の回にしたのだが、それまでに着くのは北コース第1便(南桜井駅北口発9:16→龍Q館9:26)しかない。これは要注意だ。また、帰りも11:15、13:35、14:55、16:15の4本(南コース)なので、運が悪いと見学後1時間以上待たされることに。大人数で行ってタクシーを使用するか、頑張って徒歩30分の道のりを歩くかした方がいいかもしれない。
さて、私と根っこ氏は寝坊することもなく無事9時過ぎに南桜井駅に到着。(私は前日まで半徹が続いていたので、起きられたのはまさに奇跡である。)
バス停留所は、北口ロータリーのすぐ目に付くところにあるので、見失うことはないだろう。
ちなみに、駅前にはファミリーマートがあるので、朝ごはんを食べ損ねた人はここでどうぞ。その隣には洋菓子店もあったが、9時ではまだ開いてないようだ。なお、龍Q館内では飲食禁止なので注意。
バスはマイクロバスで、地域のおばちゃんやおばあちゃんも一緒に乗ってきた。
10分ほどで龍Q館に到着。詳細は忘れたが、途中止まる停留所がやたら地域密着型だったような覚えがある。
↑建物外観
↑近くにあった、なんだか良くわからない建物
中に入る前に、建物をちょっと観察。
入口右には逆U字型の物体がたくさん並んでいる箇所があって、ここだけでも地下神殿ぽい。
建物内部から見学できるのかと予想したが、ここは立入禁止のようだ。
建物周辺をぐるぐる見て、だだっ広くて平らで何もないところだと分かったところで建物内部へ。
龍Q館は「地底探検ミュージアム」という定義になるらしい。だいぶ実際と違うような気がするか、まぁいいか。
↑建物入口の看板
地下放水路の完成が平成18年というだけあって、建物は真新しい。
入ってすぐのところは市のギャラリーになっていて、春日部市名物の凧がたくさん飾られていた。
↑ラブ連合会……
階段を3階まで上がって、ホールみたいなところで受付を済ませる。
現在留学中の根っこ氏は現住所に「北京市」と書いていたが、ちゃんと通用しただろうかちょっと不安だ。
ホールでは、インギ皇子のレポートでも話題になっていた6本指の絵を発見。誰もつっこまないのだろうか。
↑もしや、何かのこだわりがあるのか?
廊下には有名人からの色紙がずらり。特撮もののロケで人気のようだ。
しかも、地下部分だけでなく、管理室も秘密基地として使われたそうな。掲示資料読んでから、中にいる人が地球防衛軍に見えて仕方なかった。ただのおっさんなんだけど(笑)。
↑下にはウルトラマンのフィギュアがずらっと並べられている
色紙を眺めたり、トイレに行ったりしているうちに10時ちょっと前になる。HKT氏も自転車で無事到着し、合流を果たす。
10時になり、作業服を着たおねえさんがホールで集合をかける。
本日の参加者は6人。普段は20人くらいいるのが普通のことで、なんだかラッキー。
まずは、「春日市は田舎で洪水被害に苦しめられている」という印象を植え付けるビデオを見たり、設備の説明などを受ける。(地元住民のHTK氏いわく「こんなにひどいところじゃない」とのこと)
あと、「洪水」というのは水が溢れることだけでなく、あふれた水も指すということが分かった。「洪水が流入し……」と聞くと初めはなんとなく違和感を覚える。
そういや、プレートの英語表記がmecanismになってたっけ。廊下にも"this building is being built as a flooding"(この建物は洪水として建設中である)とあり、トイレでは"please pour water after using"(使用後は水をつげ)と書かれていたから、この施設の人は英語が得意ではないらしい。
説明を全部聞き終えたら、ヘルメットをかぶっていざ地下へ。
↑頑丈なため、けっこう重い
龍Q館を出て、左の方に歩いていく。水路があるのは地下なので、地上にはグラウンドがあるぐらいで何も分からない。
「車止めに転ばないでくださいね」と何度も念押しされたが、あんなもので転ぶ人が本当に多いのか?
ものの5分も歩けば地下入口に到着。
無機質なコンクリートで、神殿というよりは核シェルターの入口に思える。
↑地下への入口。SFにでてきそう
120段ほどの階段を降り、待望の地下神殿へ。(※エレベーターはありません)
写真で見たのでイメージはできていたが、でもやっぱり実際に見るとでかい。高いところから下を見ると怖いが、写真で見るとなんてことないように、こういう「でかさ」も実際に見ないと感動できないものだなぁ、と思う。
↑地上への階段
↑内部
一般公開しているのは貯水池(?)の半分ほどで、奥は掃除してないのでヘドロが溜まっているらしい。
掃除するときは上の蓋を開けてブルドーザーを入れるんだそうだ。
↑奥は立ち入り禁止
神殿ぽい巨大な直方体型の部屋は貯水部分で、水が流入してくる箇所は立抗(たてこう)という。
落ちるといけないから、立抗は覗かせてもくれない。つまんない。
↑遠くから見た立抗
写真を撮ったり歩いたりしているだけで滞在時間は終わってしまった。
長い階段を昇って地上に帰還せねばならない。
来るときは期待に胸を膨らませて降りてきたから足取りも軽かったが、帰りは楽しみが何もない上に登りなので、何倍もきつい。普段DDRで鍛えているつもりだったが、上がりきったら足が痛かった。
地下神殿を出た後は、また龍Q館に戻る。
ホールでヘルメットを返却し、見学会は無事終了した。時間は11時ちょっとすぎだったから、急げば南桜井駅のバス(2時間に1本)に間に合う。
だが、我々には地元民HKT氏がついているので、徒歩で帰ることに。
せっかくだから内部を見学する。壁にやたら同人系イラストが貼ってある「地下体験ゾーン」なるものがあったので、受付のお姉さんに頼んで見せてもらう。
内容は、いかにこの設備が春日部市防衛治水に役立っているかというものであった。
見ていてなんか違和感を覚えるなーと思ったら、HKT氏曰く「ふつうは龍をやっつけて治水するのに、このビデオでは龍が治水していることになっている」との指摘。なるほど。
ちなみに、壁に貼ってあったような萌えキャラは一切出なかった。子供向けだと内容が違うのだろうか?
その後、根っこさんは受付のお姉さんを口説き始め(後で弁解するには、ビデオについて色々話を聞いていたそうだ)、暇になってしまった私とHKT氏はしばらく展示物で遊んでいた。
15分ほど経って根っこさんが帰ってきたので、龍Q館を後にし、町を抜けて駅へと30分の道のりを歩いていった。
地下を見学したころから小雨がぱらついていたが、3人が3人とも間抜けにも傘を忘れ、ずーっとびしょぬれで駅まで帰った。
〈おまけ〉
見学会終了後、パンフレットとこの車をもらった。
ティッシュケースだそうだが……こんなのもらっても嬉しくない。税金の無駄遣いだ!
(おしまい)