西光義弘(編) 『日英語対照による英語学概論』 くろしお出版
編者: 西光義弘
発行社: くろしお出版
発行年: 1999(増補版)
レベル: 易
備考: A先輩に「統語論が分かりません」と泣きついたらこの本を紹介された
音声学・統語論・意味論など言語学の主要分野が1冊にまとめられている。各分野への入門編として使えるし、これ1冊の知識でも院受験に歯が立たないわけでもない。(但し、得意分野を作るために各分野の専門書を1冊は読んでおいた方がいいだろう)
各セクションに練習問題がついており、自分の実力が試せる。解答はついてないが、大学図書館においてあることも。
大学の書籍検索はWebcatをご利用下さい。
自分の経験談を語ると、東大院試は卒論やらレポート(「くるしいぞ言語学・絶望編 おもしろいぞ言語学・感動編」)に追われてさっぱり勉強できず、前日にこれを一通り読んでいったら、「複合語アクセント」などいくつか出題されたので助けられた。
〈2006年8月31日追記〉 「認知言語学・文献案内88」(pdf)にてこの本が載っていた。「日本語の概説書の中で、コア部分を押さえた比較的新しいもの」と紹介されている。
編者: 寺澤芳雄
発行社: 研究社
発行年: 2002
レベル: −
備考:英語史ゼミで買わされた
英語学の各分野で使われる英単語を解説した辞典。初学者でも読めばそれなりに分かる。
かなり色々なことが載っているので、この内容で6,000円だったら安いとさえ感じられる。英語学をやる人は買うべし。入試の用語説明問題では、この辞典に書いてあるくらいのこと……だけでは行数制限(10〜20行くらいか?)に満たないので、ある程度の肉付けは必要だ。
小型なので持ち運びに便利、辞書にしては紙も厚めで字も大きいのもポイント。
大学院でも言語学の知識を問われることが多いので、入学後も引き続き愛用している1冊。
〈2006年8月31日追記〉 「認知言語学・文献案内88」(pdf)にこの本が載っていた。「英語畑に限らず、広い範囲をカバーしている」とのこと。
著者: 田島松二
発行社: 南雲堂
発行年: 2001
レベル: 普通
備考: −
この本は、タイトルの通り日本における英語学の100年の歩み(1900〜2000)を概観し、各分野の主要な研究を挙げたものである。だから、英語学と関係ない人が読んでもちっとも面白くない(このページを見る人はたいてい英語学で院受験する人だろうから、問題ないと思うけれど)。
しかし、英語学に関わる人、とくにこの分野でメシを食おうとか、卒論書こうとかいう人には非常に有益な書である。自分のやりたい分野、勉強したい分野でどの研究や本を押さえればいいか分かる。YKK氏の言葉を借りれば、「読まなければいけない本のリスト」みたいなもんである。あるいは、「参考文献の参考文献」みたいなものか。
また、著名な学者は繰り返し名前が出てくるので、英語学のどの分野では誰が活躍しているか分かる。通読すればとりあえず市川三喜、中島文雄、大塚高信、岩崎民平あたりの名前は頭に入るかと思う。(読むまでよく知りませんでした。すみません。)
注意点としては、この本では書名には軽く触れるだけ、論文は執筆者と発行年しか挙げられていない。詳しくは『わが国における英語学研究文献書誌1900-1996』を参照、とのことだ。ただ『研究文献書誌』の方は3万円以上するので、一学生には手を出しづらいのが難点。
〈2007年2月19日追記〉
超優秀なM先輩(専門は英語史)が、レポートの参考文献を探すのにこの本を使用していた。だから、英語史関係で困ったら、この本が役に立つんじゃないだろうか。
監修:大塚高信、中島文雄
発行社: 研究社
発行年: 1987(縮刷版)
レベル: −
備考:SKZ氏のおすすめ
英語学に登場する概念や用語(英語)などを、アルファベット順に解説。
『英語学要語辞典』と比べて、1つの項目に対する解説が詳しい。ただ、発行年が1987年と若干古いので、最近はやりの認知言語学とかミニマリストプログラムとか、新しい事項は載っていないのが残念。
なお、今売られているのは縮刷版。古本屋に行けば大きいのもあるが、持ち運びに向かないのでおすすめしない。
『わが国の英語学100年』の「総説・一般」(p.53)でこの本が紹介されていた。「各種文法理論(とりわけ生成文法)の解説が詳しい」と書かれている。
〈2006年8月31日追記〉 「認知言語学・文献案内88」(pdf)にこの本が載っていた。「年代的に少し古いが、スタンダードな分野の用語について知るにはむしろよいかもしれない」とのことだ。