ジェニー・トマス/浅羽 亮一ほか(訳) 『語用論入門 話し手と聞き手の相互交渉が生み出す意味』 研究社
著者: 小泉保
出版社: 研究社
発行年: 2001
レベル: 易〜普通
備考:授業「英語語用論入門」での紹介
語用論の入門書として最適。推意、前提、談話分析など語用論の基礎が学べる。
これとJ. Thomasの『語用論入門』押さえておけば語用論はバッチリだろう。
章ごとに練習問題と解答がついているので、自分の理解度が確かめられる。
なお、この本では語用論の理論だけでなく、語用論を他の分野(ジョーク、俳句など)に応用した例も紹介されている。
特にジョークとレトリックの分析に関しては、同じ著者が『ジョークとレトリックの語用論』(大修館書店)を出しているので、興味を引かれた方はそちらもご覧下さい。(たぶん入試には出ませんが。)
ジョークときくと「そんなテーマふざけてる」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、意味論(Attardo & Raskin)や語用論の分野で盛んになってきた研究テーマのひとつです。東大院の総合文化研究科にもジョーク・ユーモアに関して研究されている方がいらっしゃいました。
〈2006年9月7日追記〉 山本史郎「テクストの産婆術」(斎藤兆史(編)『英語の教え方学び方』に収録)に、この本に収録された 大沼雅彦「語用論と他の分野:小説」 への言及があった。
「小説の文章を材料とした語用論の研究において、英語を正確で深く読み込むという作業が、いかに『読むという好意のより本質的な部分へ皆さんを誘い込んで』くれるかが……説得力あるかたちで具体的に示されている。」とある。
著者: ジェニー・トマス (Thomas, Jenny)
出版社: 研究社
発行年: 1995/1998(和訳版)
レベル: 易〜普通
備考: 英語語用論ゼミで使用
語用論の入門書。例が豊富かつおもしろいので(イギリスの小説やテレビ番組から取っているものも多い)、楽しく読める。ポライトネスがかなり詳しく説明されている反面、談話分析に関してはほとんど書いていない。
原書は英語だが、翻訳本も出されている。
私は授業で原書を読まされたがさっぱり分からず、結局翻訳本を買ってしまった。でも、内容自体がよくまとまっている上に英語表現も難しくないので、余裕のある人は挑戦してみては。
余談だが、外大院の入試問題ではこの教科書に類似した問題(J.Austin『高慢と偏見』の例文)が出題された。
馬場彰教授(東京外国語大学)のホームページでもこの本が紹介されていた。
〈2006年9月7日追記〉 アラン・デュラント「授業における読解と問題練習」(斎藤兆史(編)『英語の教え方学び方』に収録)で、(語用論の)「役に立つ一般的な入門書」だとこの本が紹介されている。