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2006年3月3日(金) Page3

(19) スーニオン岬


(19) スーニオン岬

リカヴィトスの丘から下りた時点で14時を過ぎていて、これからどこか回るのも中途半端だし(遺跡の大半は15時ごろ閉まる)、天気もいいのでスーニオン岬(Ακρωτηριο Σουνιου アクロティリオ スニウ)へ行くことにする。

この岬は夕日の美しさで有名だ。また、ポセイドン神殿があり、そこには情熱詩人と呼ばれたバイロンの落書きがあるという。
ほか、この地はソークラテスとちょっとした関係がある。ソークラテスとその友人クリトーンとの処刑前夜のやりとりを綴ったプラトーン『クリトーン』の冒頭には、「スーニオン岬からやってきた人々が船の到着を知らせた」とあるのだ。ソークラテスの処刑は、デロス島からアテネに船が到着したら行われることになっていたらしい。……と、この話を同行者Βにしたら、ソークラテス処刑の場だと勘違いして「悲しい場所なんですね」と返答してたっけ。

ネットで事前に調べたところによると、日没は大体18:30頃。バスで行くと2時間弱かかるから、アテネをどんなに遅くとも16:30には出ないとならない。それに、ポセイドン神殿は日没までしか開いていないので、観光したいならもっと早めに着かないと。

バスで行くには、考古学博物館近くのバスステーション(といっても何もない)からオレンジバスに乗っていく。オレンジバスは中距離路線で、普通のバスと違い車内で切符を購入する。
スーニオン行きは海側、山側のコースがあり、海側(sea coast)4.9ユーロ、山側(village)4.5ユーロ(2006年3月現在。3月1日に値上げしたらしい)かかる。海側は毎時30分発、山側は毎時45分だ。それぞれ停留所が違い、海側は広場のあたりで、山側は大通りの方だったような。一番確実なのは、バスの運転手に聞くことである。
なお、行き先はギリシャ語(大文字)でしか表示されないので、最低限読めるようにしていったほうがいい。ちなみに「スーニオン」はΣΟΥΝΙΟΝだ。

山側の方が安いのでそっちにしようとしたら、バスの運転手は海側しか教えてくれなかった。山側は地元の人向けで、観光客は海側に乗せたいんだろう。

我々が着いたときはもう14:40で、ぐずぐずしていたら14:45発の山側のバスに行かれてしまった。結局、15:30発の海側のバスで行くことに。

海側のバスに乗るときに1つ注意がある。海を見たいなら、右側に座ってください。左側は山ばっかりです。まあ、海も最初の数分はいいが、あとは青くてまぶしいだけなのであまりおもしろくはないのだが。
私は左側に座ってしまったので、たっぷり寝て英気を養っておく。

あ、忘れるところだった。乗って即寝てはいけない。車掌がやってきて、目的地までのチケットを買わされるからだ。ちゃんと買っておかないと「無賃乗車」として後で法外な値段を請求されるような気がしたから、注意してください。

行きのチケット

↑行きのバスチケット。
複数枚なのは、数日前に値上げして新しい券が間に合わなかったからだろうか?

 

スーニオン岬に着いたのは17:30頃。日が傾き始め、ちょうどいい頃合だ。
4ユーロ払ってポセイドン神殿に入場。各自、写真を撮るベストポイントを探す。同行者Αはガイドブックと同じ写真を撮ると張り切る。

スーニオン岬

↑夕暮れ前のスーニオン岬

 

ポセイドン神殿

↑ポセイドン神殿。バイロンの落書きは発見できず

 

神殿を一回りして、まだ日没まで時間がありそうなので、神殿裏に探検に出かける。神殿の裏にはなだらかな傾斜の野原が広がり、そのまま断崖まで続いている。

神殿裏地

↑神殿の裏はこんなに広い

 

途中までは観光客もちらほら見えたが、端まで来るとさすがに誰もいない。崖にひとり立って海と空を眺めながら、ソークラテスの生きた古代ギリシャに思いを馳せていた。
パルテノンみたいな大きい神殿もいいけれど、こういう風に海と自然に囲まれてすごすのもいい。今回のギリシャ旅行で一番気に入った場所だ。

日暮れ

↑エーゲ海の日暮れ

 

断崖

↑断崖絶壁(この端に立ちました)

 

と、ひとりぼーっとしていたら、どんどん陽が沈んでゆく。スーニオン岬はポセイドン神殿にかかる陽光が美しいというのに、早く戻らねば!! 慌てて野原をひた走るが、ゆるやかな坂になっていて、行きは足の向くまま楽に下りてきたが、帰りはしんどい。
急いだが結局途中で陽が沈んでしまった。あーあ。でも美しい水平線を見れたからいいか。

日が沈む

↑途中で時間切れ。結局神殿には戻れず

 

日没になったので神殿まで戻ってきたら、係の人がやってきて追い出された。日没後閉場とは聞いていたが、こんなにすぐとは。もうちょっと余韻に浸らせてほしかった。

 

行きにバスを降ろされたところに行ってバスを待つ。山側毎時30分、海側毎正時と書いてあって、現在時刻は18:40.きっと18:30は行ってしまっただろうと、探検に出かけようと歩いていたらバスとすれ違った。19:00発海側かなと思ったが、なんか嫌な予感がしたので追いかけていくと、「今すぐ出るからさっさと乗れ!」と叫ばれた。同行者2人を置いて帰るわけにもいかないので、待ってくれと言ったら本当に待ってくれた(他に客も三々五々来ていたし)。日本のローカル線並みの融通のよさである。目の前でドアを閉める中央線とは大違いだ。

 

そんなわけで無事3人はバスに乗り、20:30頃アテネへ。今夜も何事もなくホテルへ着けた。やっぱり次からはもっと治安のよいところにしよう。気を張って疲れる。

(3月3日 終わり)

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