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《外国語科目》

〈外国語学習全般〉

千野栄一 『外国語上達法』 岩波書店(岩波新書(黄))

鈴木孝夫 『日本語と外国語』 岩波書店(岩波新書(赤))

〈ドイツ語〉

石川 光庸、サスキア・石川=フランケ 『立体学習 ドイツ重要単語2400』 白水社

福本義憲 『はじめてのドイツ語』 講談社(講談社現代新書)

石川光庸 『匙はウサギの耳なりき』 白水社


『外国語上達法』

著者: 千野栄一
発行社: 岩波書店(岩波新書(黄))
発行年: 1986
レベル: 易
備考: 言語学の授業で紹介

 
外国語を学ぶ上での方法論というか心構えが書いてある。
といっても、「〜すればできるようになる」というハウツーものではなく、「まず単語、それから文法」といたって堅実だ。学問に王道なし。

僭越ながら私見を書くと、「単語→文法」というのは確かにそうだと思う。
入試は和訳しか問われないことが多いので(東大は日本語→外国語訳も選択できたけど)、単語が分かってないと得点が稼げない。
単語が分かってて文法が分からないと
「世界政治××大き○○変動★★最近」
みたいな感じで、一応意味はなんとなく取れる(あるいは推測)。
しかし文法が分かっていて単語が分からないと
「○○は××で△△と□□した」
という感じで、さっぱり分からない。
(余談だがこれはギリシャ旅行でも体感した。古代ギリシャ語文法をやったので動詞や名詞の語尾変化はわかるのだが、肝心の単語がわからないので何も分からないに等しかった。)

大学での第2外国語は文法はやるけれど中高での英語みたいに必死に単語を覚えることはあまりしない気がする。
でも、この本を読んだり自分で体験したりする限りは、単語もやっぱり必要かなと思う。

ちなみに、著者の千野先生は『言語学大辞典 第6巻 術語編』の編者であり、東京外国語大学のチェコ語専攻・ポーランド語専攻を作った方でもある。

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『日本語と外国語』

著者: 鈴木孝夫
発行社: 岩波書店(岩波新書(赤))
発行年: 1990
レベル: 普通
備考:

外国語学習の方法を直接明示したものではないが、外国語を学習する上で知っておくとよい心構えが述べられている。対照言語学に近いかもしれない。

英和辞典などを使っていると、「外国語の単語=日本語の訳語」と捉えてしまいがちだが、実際には、似た概念であってもある単語が対象とする範囲は言語により異なる。
この本で紹介されている例だと、「蛾は蝶の一種」「英語のorangeは日本語のオレンジ色より範囲が広い」といったもの。
後者に関しては、ハリー・ポッターシりーズ(確か2巻)を原書で読んだときに、ハーマイオニーの猫クルックシャンクスの色がorangeだと描写されていて、魔法世界ではオレンジ色の猫もいるのだと勝手に納得していたが、この本によるとどうやらキジトラのことらしい。

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『立体学習 ドイツ重要単語2400』

著者: 石川 光庸、サスキア・石川=フランケ
発行社: 白水社
発行年: 1987
レベル: 易
備考: 授業「英語学演習」で紹介

 
「立体学習」というのは、単語の意味をただ覚えるのではなく、派生語・語源・反意語など色々な側面から「立体的に」覚えよう、とのことだそうだ。
対応する英語が書いてあることも多く、英独両方に触れたことのある身としては興味深い。(同じゲルマン系なのに全然違うじゃん、というものもあったが、それは英語がフランス語系の言語からたくさん借入しているため)

私は語源に興味があるため、語源がついているのは覚えやすく、また興味を持って読み進めることができた。
ドイツ語は複合語が多いので、単語の各部の意味から入るのは悪くないアプローチじゃないかな。

2400は単語帳としてはそんなに多くないかもしれないけれど(白水社からは4000というのも出ている)、これ1冊でも押さえておけばだいぶ違うと思います。(私は入試1ヶ月を切った時点で紹介されて慌てて買ったので、とても間に合いませんでしたが)

余談だが、「第2外国語は全然できなくても大丈夫」という噂もちらほら耳にする。
しかし、そういうことを言う人は英語がやたらできたりするので(おそらくTOEIC900点以上とかTOEFL iBT100点とか)、2外があまり取れなくても英語で十分カバーしているだけなんじゃないのかな……。

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『はじめてのドイツ語』

著者: 福本義徳
発行社: 講談社(講談社現代新書)
発行年: 1991
レベル: 易
備考: ドイツ語ブラッシュアップのために購入

 
初学者を対象とした「はじめての〜」シリーズの1冊。284ページと、新書にしてはやや厚め。

対象言語に全く触れたことのない人でも分かるように、かなりやさしく書かれている。本格的な学習を始める前に試しに読んでみるか、学習が一通り終わった後の確認として読むのがいいだろう。ヴァレンツ構造とか枠構造とか載っていて、なかなか勉強になる。

出てくる単語・例文のほぼ全てに読み仮名が振ってあるが、うざいと思うか有用と思うかは人によるだろう。ドイツ語から1年半離れドイツ語をつい英語読みしてしまう自分には、なかなか有り難かった。

難点としては、(おそらくスペースの都合により)例文がほとんど載ってないこと。これ1冊で2外対策をするのはきつい。ドイツ語のテクストを手に入れて、辞書を引き引き読み進める訓練が必要となるだろう。

余談だが、「はじめての〜語」シリーズでは『はじめてのラテン語』も買ったが、こちらも読みやすかった。


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『匙はウサギの耳なりき』

著者: 石川光庸
発行社: 白水社
発行年: 1993
レベル: 普通
備考:授業「英語学演習」で紹介

 
語源の本というと英単語関連が多いが、これはドイツ語の語源の話である。
よって、ドイツ語を未習の人が読んでもあまり面白くないかもしれない。
院試では単語力もカギとなるが、なかなか覚えられるものでもないので、こういう背景を知って記憶に定着させやすくするといいのかもしれない。
著者の語り口もうまいので、息抜きとしてもいい。

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