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2006年3月6日(月) Page1

(25) メテオラ   〈カラバカ〜ラリッサ〉
(25) メテオラ

今日はメテオラ(Μετέωρα)に登る。
本当はバスを利用したかったが、今はまだオフシーズンで出ていないとのこと。
タクシー(ταξί)は1人5ユーロで頂上まで連れてってくれるが、我々貧乏旅行者はそんな金持ちなことはせず、往復21kmの道のりを踏破することに決心した。

腹が減っては戦はできぬと、まずはホテルで朝食。
ホットモーニングはどんなのかと思ったら、ホット(加熱したもの)はゆで卵しかなかった。
ソーセージとかスクランブルエッグを期待したのに。
他にあったものは

パン、シリアル、ハム、スライスチーズ、オリーブ、ハルヴァ、オレンジジュース、ヨーグルト、紅茶、コーヒー。

ギリシャのヨーグルトは日本のよりもテクスチャーが硬い。
500gのヨーグルト買ってきて放置してると上のほうにできる硬いやつに似てるかな。
スプーンで取ってもなかなか落ちてこない。
日本人はシリアル皿に大量に取っていたが、西洋人(ギリシャ人?)はパンにつけて食べていた。

〈2012年5月22日追記〉
知り合いのギリシャ人の話だと、パンにつけるのは見たことがないが、ヨーグルトはボウルでなく皿に取るのが普通らしい。
海外(ギリシャ国外)に初めて行ったとき、ヨーグルトを買ってきたらテクスチャーが緩くてびっくりしたんだそうな。

 
腹も膨れたので、メテオラに出発。
私は腹いっぱい食べた上、ゆうべのデザートが腹にこたえてちょっと気持ち悪くなる。

途中何回かタクシーに追い越され、乗っていくよう声をかけられたが、カラ元気を出して'No thank you, we're fine!'と断った。

メテオラの岩山

↑巨石がごろごろする中、ひた歩く

 

今日はギリシャに来て初めて天気が悪く、朝は小雨がパラついていたが、なんとか持ちこたえてくれたようだ。そのお陰で虹も見られたし。

メテオラの虹

↑ちょっと分かりにくいですが、画面中央に出てます

 

まず最初に、一番有名なメガロ・メテオロン修道院 (Μεγάλο Μετέωρο)へと向かう。
入場料はどこの修道院でも2ユーロ(2006年3月現在)。

メテオロン修道院入場券

↑修道院の入場券。ギリシャ語と英語で説明が書いてある

 

メガロ・メテオロン修道院

↑メテオロン修道院遠景

 

どこもそうだが、修道院の前には駐車場があって、バスや自家用車がたくさん停められていた。
「環境汚染だ! 足を使え!」と毒づく私。(単に他人がラクしてるのを羨ましがっているだけ)

いざ修道院に入ろうとして、絶句した。
修道院と駐車場の間にアップダウンの激しい通路が待ち受けていたからだ。
橋をかけて直線でつないでくれればいいのに!
つらいが、ここで引きかえすのも勿体無いので、がんばって進むしかない。

修道院への険しい道のり

↑修道院に入るには精神と肉体の修行がいるようだ

 

修道院入口

↑やっと上がりきりました

 

メテオラの修道院に入るには、女性は膝より下のスカートをはかなければならない。
パンツルックの人は、入口でスカートを貸してくれるのでそれを腰に巻く。
ダブルボトムみたいでちょっとおしゃれ。
スケ番みたいに長いのをはかされるかと思ったが、膝下だった。

スカート

↑メテオロン修道院では黒と白のチェックでした

 

メテオロン修道院より

↑メテオロン修道院から見下ろす町並み

 

内部では昔の修道院の生活や、古い聖書などが展示されていた。

みやげ物屋もあり、クロスのネックレスが3ユーロ〜、小さなイコンが3ユーロ〜で売られていたので買った。
『地球の歩き方』にも、「修道院の売店や安くお土産が買えるので、そのへんの観光客目当ての店よりよっぽどいい」と書いてあったっけ。
そういえば、クロスは西洋ではキリスト教の象徴なのでキリスト教徒でない人が気軽につけると嫌がられる、というような話を聞いたことがある気がする。
確かに、キリスト教徒に「日本だと十字架のアクセサリーは単なるおしゃれでつける」と言ったらちょっと嫌な顔をされたことがあった。
だいぶイメージは違うけれど、仏像やミニチュア位牌を首から下げてファッションだと言われたら困るよね、きっと。
余談だが神社のネックレスというのはあるそうで、坂本九が笠間稲荷神社のネックレスを最期まで身につけていたという話を聞いたことがある。

 
他に特筆すべき点としては、メガロ・メテオロンのトイレは和式だということである。
日本人観光客が多いからなのか、山の気候に合っているかは不明。
今まではずっと洋式しかなかったので。

修道院の本堂は2階にあった。
驚いたのは、壁が一面殉教者の絵だったことだ。
中世調の絵で、生首が並んでいたり槍で刺されていたり燃やされていたり、とにかく処刑の図ばかりなのだ。
室内が薄暗いこともあり、ちょっと怖い。
これはキリスト教全体の特徴なのか、それとも特にギリシャ正教に見られるのか??
殉教や拷問というと遠藤周作の『沈黙』が浮かんでくる。

 

メテオロン修道院で清清しい気分を味わった後(駐車場までのきつい階段はいただけないが)、電車の時間の関係で下山することにした。
あまり遅い時間で帰ると、アテネで深夜治安の悪いところを歩く羽目になるからだ。

降りる途中、まだ時間に余裕があったのでルサヌー修道院(Ρουσάνου)にも寄る。メテオロン修道院は男性しかいなかったが、ここは尼僧院である。
入る途中にある橋が特徴的で、うまい角度から写すと建物が宙に浮いているように見えるんだとか。

ルサヌー修道院入場券

↑ルサヌー修道院の入場券

 

ルサヌーまでの道のり

↑ルサヌーに行くにも、階段を登らなければならない

 

メテオロン修道院より

↑ルサヌーのスカートは柄が色々あった(写真はベージュのチェック)

 

中はこじんまりとしているが、メテオロン1箇所で帰るよりはいいかな。
ただ、どうも修道院(とくに本堂)は、我々のような異教者には入りづらいものがある。
とくにギリシャ正教では、本堂にあるマリアの絵姿などに熱心にキスをしていく風景が見られるが、そんな場に我々が入っていいのだろうかという気分になる。
「入っちゃダメ」と言われないから、そのへんは気にしなくていいのだろうけど、なんかなぁ。
ギリシャというとギリシャ神話のイメージが強いが、現代ギリシャはキリスト教国で、ギリシャ神話のイメージよりははるかに保守的で男女の恋愛にもうるさい(デートはカフェでコーヒーを飲むレベル)と聞いた。
しかしガイジンだと尻軽に見られてナンパされるという話も。(エーゲ海クルーズにもセクハラオヤジがいたし)

 

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〈カラバカ〜ラリッサ〉

山の上の清涼な空気を味わった後(風が強かった)、無事カラバカまで帰還。
荷物を預かってくれたヤヌス氏(ホテルのオーナー)に「エフハリスト!」(Ευχαριστώ!)と礼を言って、駅に向かう。
この調子なら13:32発アテネ・ラリッサ行きに乗れそうだ。

この後が大変だった。切符を買おうとしたら、「Σήμερα?」(シメラ/今日か?)と聞かれ、そうだと言ったら返事が'No seat!'である。
お互い英語がよく分からないので時刻表のところまで行って指差し、
「これに乗りたい!」(We want to take this train!)
'No tickets! Today, full! Tomorrow, full! All full! no seats!'
つまり、カラバカ→アテネの電車はずっと満席でチケットを買えないということである。
そんな〜。帰れないなんて聞いてないぞ。

しょうがないからガイドブックで別の経路を探してみるも、さっぱり分からない。
そもそも、電車にしたのはこれが一番簡単な経路だったからで、時間が不正確な上乗り継ぎをしなければならないバスなんて使えません。

仕方がないのでもう一度駅員に話すと、よく分からないまま駅員室に招き入れられ、切符を発券してくれた。
どうも、席なしでも乗れるらしい。
ただし、パレオファルサロス(ΠΑΛΑΙΟΦΑΡΣΑΛΟΣ)で乗り換え、みたいなことも書いてある。
5時間半たちっぱなしはしんどいが、帰れないよりは遥かにマシだ。

帰りの切符

↑カラバカ〜ラリッサの切符。
下の方に斜めにΧΩΡΙΣ ΘΕΣΗとスタンプしてあるのが、どうやら「席なし」(without position)という意味らしい。( Google Translation (ギリシャ語→英語)でチェックした)
その左に見える小さな丸い点は、車内での切符点検の入鋏。

 

今度は電車も遅れず、ちゃんと予定通りに電車に乗り込むことができた。
「席なし」と書いてあるので車両の間に立ってたら、車掌が中に入れと言う。
通路の邪魔かと思い中で立っていたら、若い男が近づいてきて「この線はローカルだから座席指定がない。だから席なしのチケットでも勝手に座って大丈夫」と教えてくれた。
いきなり話しかけてきたから新手のナンパかと警戒したが、親切な人もいるもんだな。
まぁ、油断してると変な男に"How are you?"とか「ニーハオ」とか話しかけられたりするわけだが。
日本人は男も女もモテるらしいので、気を抜かない方が安全だ。
〈2012年5月23日追記〉
「今フリー?」という意味の単語はελευθέριος エレフセリオス(男性形)だとアメリカ人考古学者に教えてもらった。
女性形はελευθέρη エレフセリかな?
彼女は金髪美人なので、おそらくよく聞かれてるんだと思う(^ ^;)
ナンパ専用の単語というわけではなく、元々は「自由な」という意味の単語で、アテネのエレフセリオス・ヴェニゼロス空港に見られるように男性名にも使われるそうだ。(大統領の名前から取った空港だったと思う)
ギリシャ語版のWikipediaを見たら、日本語だと「フリー百科辞書」と書いてあるところがΗ ελεύθερη εγκυκλοπαίδειαと書いてあった。

 
座って快適な電車の旅を30分。
もうパレオファルサロス駅(Παλαιοφάρσαλος)に着いてしまった。
どうせならもっと先にしてくれればいいのに。
降ろされたパレオファリサロス駅は、何にもないところだ。
2003年にイギリス(ロンドン〜カンタベリー)で電車に乗ったときもも割とそういう感じの駅が多かった気がする。
ヨーロッパでは中心街に駅を作ってはいけないのだろうか。空港じゃあるまいし。

パレオファリサロス駅

↑なーんにもないパレオファリサロス駅

 

パレオファリサロス駅掲示板

↑時計が二つあるが、実は二つとも合ってない

 

待っている間に人を観察してたが、ギリシャ人って顔が濃いというか、眉毛太い人多いな〜。
つながっている人(unibrow)もよく見る。
剃ったりしないのだろうか。

 

アテネ行きには無事乗り換えられたんだが、この電車では悲惨だった。
何かあったわけではないんだが、21km歩いたあと5時間強立ち詰めというのはつらい。
我々のほかにもno seat(な人はたくさんいたようで、車両の間に人があふれていた。
おまけに、こっそり煙草を吸うやつまで現れ、外は雨降ってくるわで空気は不快指数100%。疲労はどんどんのしかかってくるわ、空は暗くなっていくわ、ステップから妙な熱気(暖房だとは思うが)は出てきて足は熱いわ、することがなくて退屈だわで鬱になりかけた。最後のほうは、みんなそれぞれ歌を歌っていて、ちょっと精神状態やばかったんじゃないか。(お前が一番やばいだろ!とツッコミを受けそうだ)

 

虹

↑車内からまた虹が見られたが、それくらいじゃ心は晴れない

 

まぁ、こんな苦行だらけの一日だったが、無事ホテルに帰れたのでよしとしましょうか。

今夜はまたオモニア広場のアマリリスに。
フロントで数日前と全く同じ説明を繰り返され辟易する。
1日いなかっただけでもう顔忘れたのか。疲れてるんだからさっさとしてくれ。
「朝食の時間は……えーと……」と詰まっていたので「7時〜10時でしょ」と言ってやりたくなった。

この晩は停電があった。同行者Βが洗濯をしていたら突然電気が消える。
真っ暗なバスルームの中、泡だらけの手で途方にくれる同行者Β。
何事かと外を見たら、ホテルのある1ブロック全部消えている。
通りの向こうは点いているのが不思議だ。
驚いて、寝ている同行者Αを起こそうとするが、いくら揺すぶっても丸太のように動かない。
しょうがないので15分くらいぼーっと外を眺めていたら、唐突に電気がついた。なんだったんだろ。
発展途上国では電気供給が不安定で停電はしょっちゅうとの話を聞いたことがあるけど、そういうことだろうか。

明日はエーゲ海クルーズに行くはずだったが、天候不順で中止となってしまった。
代わりにだらだらとまたアテネ観光でもするか。

(3月6日 終わり)

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